声のSNSと水星の逆行

2021年2月19日

一年に約三回程、天体的に水星の逆行が起きると言われている。

今年の始めの水星の逆行は1月31日から2月21日まで。

水星は、コミュニケーションや知性などを司るようで、逆行の時期は、通信系のトラブル、コミュニケーションのずれなどが起きやすいらしい。

 

その影響もあってか、海外起業家の音声SNS「Clubhouse」が日本で流行した。おそらく一時的なものかと思われるが、さまざまなSNS上でこのアプリの拡散具合を知った。

 

僕はというと、昨年の2月頃から日本人起業家の井口尊仁氏が開発した「Dabel」を以前から使用していた時期があり、それを再度ダウンロードして体験を懐かしんだ。

 

この二つのアプリの体験を比較すると、「Bond(絆)」ということが浮かぶ。

 

Dabelは、人と人とのつながりが本当に丁寧で編み合わせるように時間を紡いでいく。一方で、今のClubhouseは銃弾戦のように言葉が発せられる。

 

Dabelは、話す側と聴く側の参加の自由度が高いながら、そこに相手の存在を雰囲気として感じさせる。一方で、今のClubhouseは、聴く話すが分断され、そこに上下が発生してしまっている。

 

Dabelは、誰しも声を発せられ、小さな声や聞こえづらい声までも発せられ、ユーザーである隣人たちがその声を拾い受け止め、どこかにつなぐ。ゆるさがある、引出しのあそびのような適度なゆるさ。一方、今のClubhouseは、同種の仲間を探すことが容易にでき、その声を大きくすることができる。でも、強者弱者が生まれたり、数の大きさが膨れ上がったりすることで、もうすでに息苦しさを感じさせる。

 

この二つの音声アプリの様相を見ていると、元MITラボ所長の伊藤穰一氏が語った「

インターネットやSNSの発展は、中央化と脱中央化が繰り返されている」というのを思い出す。

 

そして、同じ声のSNSアプリだけれど、Clubhouseは中央化の道へ、Dabelは脱中央化への道を進んでいるように感じる。中央化されることで分断が起き、脱中央化されたことでつながりが深まる。そんな展開になるのではないだろうか。

 

水星の逆行が影響を与えるというのならば、Clubhouseの拡散はそろそろ落ち着きをみみせるだろう。情報発信者たちが疲弊し始めるだろうし、受信者たちも有名人や著名人の話とはいえフリートークに耐えられなくなる。

 

20時以降の居場所が少なっている今、オンライン社会に接する人々は、今求めるコミュニケーションが何なのかを再考するのではないだろうか。